私がAV女優になった理由(ワケ) 密かに好きだった親友の彼氏に好きなAV女優に似てると口説かれAVのようなアブノーマルプレイをヤリまくった3日間 二葉エマ

2023年4月8日

配信開始日:2023/04/07
(管理人より)ファン待望の朝霧浄監督との初コンビ作品は、強烈にみる人の感情をかきむしる大傑作になっていました。
 ドラマの芯として全体を構成しているのは性をめぐる青春恋愛ものです。一言で言ってしまえばこの作品では男の子側の性的欲求の好奇心が相手への恋愛感情を上回ってしまう。それが相手の女の子を結果的に傷つけてしまう。男にはあるあるだと思います(泣)。どれだけ体が結ばれていても心の結びつきがそこに重ならない切なさ。相手へ自分の気持ちが届かないもどかしさ。朝霧作品の基本モチーフであるこのあたりは、本作でも丁寧に描かれています。
 ところが本作が凡百の泣きじこりと違うのは、観客がイメージできる「誰かへの強烈な想い」が作品の背景として幾重にもあること。メタフィクション構造が多層化していることで、その「想い」が強烈に増幅されているのです。
 ドラマ部分の要素では、稲葉ユマが架乃ゆら(名言はされないけれど主人公が手にしているDVDがそうです)に似ているけれど、結局私は彼女の代用品でしかないのかな?という心の揺れが描かれます。また演じる「女優・二葉エマ」と劇中最後に誕生する「二葉エマ」との二重構造もですね。劇中劇の「二葉エマ」とは別人格な上に、AV女優とご本人が別人格なのも当たり前。私の好きな女優「女優・二葉エマ」様もフィクションの存在。この作品をみたら、やっぱり実際の「女優・二葉エマ」の向こう側にも思いを馳せてしまいます。
 さらに主人公が手にしているアダルトDVDの中に「僕の彼女が不在中に、彼女の親友のAV女優と好き放題ハメまくった3日間 架乃ゆら」があります。朝霧浄監督と架乃ゆらさんがコンビを組んでいる2019年の作品。お互いの代表作としてもあげられる名作です。こちらは大学生のハジメ(本作の男の子と同じ名前! 演じている男優さんも同じ堀内ハジメさん!)が、自分の彼女の親友・ゆりがAV女優であると知ったことから始まるドラマで「どっちとしたい? ゆりとゆら」の名ゼリフでもわかるように、こちらも自分と似た存在をめぐる物語という本作に近い構造をもった作劇が成されています。でも本作は同工異曲なんて生易しいものではなく、明らかにこれを意識した作劇を意図的に重ねて、より女の子の心の内側を浮き彫りにしたと言えます。
 その架乃ゆらさんと二葉エマ様は、現実の世界でも実際に似ているとファンの間でも知られています。エマ様も憧れの女優として公言されていました。でも昔から「似ている」「憧れ」という関係はバックステージ物ではそこからドロドロとした要素が生まれるきっかけになることも多いですよね。セクシー女優としてアイデンティティが揺らぐ可能性もあるのかもしれません。
 何より感じた部分は朝霧監督の想い。何本もの名作をモノにしているコンビですが、だから結果的に本作は朝霧浄監督の架乃ゆらさんへの思いも漂っていると感じました。はじめがユマにやってほしいと言っていることは、監督が女優を演出しているのと同じ事。はじめは本当は架乃ゆらさんにしてほしいことをユマにしている。しかもはじめがしていることは朝霧監督が男として自分がしたいことだけれど監督の立場ではできないこと。昔から映画の世界では監督の思いがハッキリと表出される部分の1つが主演女優への演出です。文字通りの代替感が強烈な喪失感に近いニュアンスとなって、この作品の方向性を決めた気がします。
 こうやって小難しいことばかり書いているとヌケるのかを気にされると思いますが、こんな感覚を追体験しながら見る好きな女優さんの絡みです。興奮しないワケがありません(笑)。全体で4つの絡みがありますが、キスや愛撫が少なめといった描写や徐々にユマの表情から笑顔が消えていくなど、感情表現がきちんと色づけされているので、シーンを早送りする気にまったくなりませんでした。そして白眉は最後の絡み。ここはすごいです。あまり感情を表出させないところから始まって、表情をフィックス&長廻しでずっと捉える。やがて感極まってしまう。それがユマの心の動きが痛いほど伝わってくる。あなたのことが好きだったのに、本当の私のことを見てくれてるの? じゃあ最後にあなたの望み通りの役割を演じてあげる・・・。そんな風に感じました。
 ですから、あのラストが強烈に響いてきます。1人の女の子が、演じるという現実の「代替」行為を仕事とする女優という職業、それどころか、恋人という存在の、そして性行為の「代替」を果たすセクシー女優という職業を選んだ瞬間で終わる。まさに完璧なエンディング、かつ強烈なビギニング。二葉エマのテロップが出た時には、様々な感情が去来して大号泣でした。
 最後に二葉エマ様の演技について。その表情、その動作、そのセリフ、その視線。そして何よりその絡み。全部が稲葉ユマという1人の女の子の心を鮮明に伝えてきました。演技が上手だとわかっているファンの私ですら、パッケージに「演技派女優」とあったのはちょっと気恥ずかしい感じでしたが、本作を見たらそれが最も適切な表現だと思いました。本当に素晴らしかったです。
 監督・朝霧浄&主演・二葉エマでしか、そしてAVでしか成立しなかった127分の青春ドラマ。必見です。